「あれ、敦賀さん」
「おや、琴南さん」

事務所の休憩室の傍にある自動販売機の前で、蓮と奏江は偶然遭った

「いつも一緒にいる社さんは?」
「いつも一緒にいる最上さんは?」

2人は目を見開くと、蓮は苦笑して「どうぞ」と先を譲った

「キョーコなら反対側の自販機です。何でもお気に入りの紅茶がないとか」
「社さんも多分そっちにいるよ。さっき電話をかけるついでに買ってくると言っていたから」

そう言いながら2人は他愛のない世間話をしながら休憩室に向った
同じ頃、休憩室の反対側の自販機でも同じ状況が行われ、お互い相方について質問された

「モー子さんなら反対側の自販機です。砂糖0の珈琲がこっちには無いからって」
「蓮もそっちだな。アイツの気にいりの珈琲があっちの自販機でしか扱ってないんだ」

そう言いながら2人も他愛のない話をしつつ休憩室に向った


言実行


「キョーコちゃんは今、学校は休み?」
「はい。中間テスト期間なので。あ〜、終わったらパーっと遊びに行きたいな
「へえ…今なら何処に行きたいの?」
「ウインドーショッピング



「敦賀さんも今の映画、そろそろクランプアップですよね?」
「ああ。この撮影が終わったら久しぶりのオフかな」
「へえ、オフは何をして過ごすんですか?」
「…今回は買い物かなぁ」



へぇ〜と思いながら2組は目的の休憩室で相方を見つけた
昼時なのでいつもより込んでいた休憩室で4人掛けの席を見つけると腰を下した
「ちょっと化粧室」といってそれぞれの相方が席を外したとき、奏江と社はコソコソと話をした

「じゃあ、キョーコちゃんのテスト終了は金曜日?蓮も今の予定ならオフは金曜日だな」
「じゃあ…………」



「ねえキョーコ、今度のテスト明けの金曜日一緒に遊びに行かない?買い物とか」
「行く行く〜
「じゃあ×××駅にあるロッソって喫茶店に10時ね」



「蓮、今度の金曜日のオフの件だけど10時から一時間だけいいかな?直ぐ終わる仕事なんだけど」
「別にいいですよ、買い物に行く位しか予定立てていないし」
「じゃあ×××駅にあるロッソって喫茶店に行ってくれ。時間は10時だ」



「よし、10分前っ!!モー子さんを待たせるわけにいかないもんね

そう言ってキョーコはスキップしながら喫茶店の扉を潜った


「5分前か…郊外で助かったな、車で来て大丈夫だったし」

そう言って蓮は駐車すると、車から降りてサングラスを掛けた


「最上さん!?」
「敦賀さん!?」

入ってきた長身の男性と通りに面した窓側の席に座る女の子はお互いを認識すると呆然とした
その姿をみて苦笑した店員が寄ってくると、昨日預かったと言う手紙を2人に渡した

"キョーコへ 私と行くのとはまた一味違うはずよ。存分に楽しんでね  奏江"

"蓮へ 仕事は嘘だよ。たまにはゆっくりと遊べよ  倖一" 

「「なるほど」」

手紙を大事にしまいながら、キョーコと蓮は苦笑した

「どうやら振られちゃったみたいです」
「俺もだよ。もし良かったら、今日これから一緒に出かけないかい?」
「…じゃあ…よろしくお願いします///

そう言うと会計を済まして2人はお店を出て行った
頭を下げて見送った店員は2人を乗せた車が走り去るのを確認して受話器を持ち上げた


「上手くいったって友人が今、連絡をくれたよ」
「ああ、良かった。全くそろそろくっついて欲しいわ。そうじゃなきゃ言い出しにくいじゃない
「俺たちが付き合っているってこと?」

社は自分の腕に腕を絡めて楽しそうに微笑む奏江に優しい笑顔を向けた


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